生保数理 本書の使い方
生保数理の参考書と問題集を、どの順に・どう使うかの説明です(無料公開)。
この章の節
本書は、アクチュアリー一次試験「生保数理」に最短で合格するための参考書です。出題範囲は教科書『生命保険数学』(二見隆、日本アクチュアリー会)の上巻第1〜6章と下巻第7〜9章・第12〜14章で、本書はこれを14章に分けています。〜2025年度の出題を分析し(序章)、毎年出る分野と、後の章の計算の土台になる分野を厚くしました。
3冊の役割と使い分け
本書は問題集・解答解説と組み合わせて使います。3冊の章立てと章番号は共通です。
| 中身 | 使い方 | |
|---|---|---|
| 参考書(本書) | 序章(出題分析と合格戦略)、14の章、付録A(公式集)・付録B(直前に1周する要点総まとめ) | 章ごとに読み、例題を自分で解く。試験の直前は要点と公式だけを読み直す |
| 問題集 | 章ごとに本番と同じ10択・正誤・空欄補充の形式の問題6〜8問。巻末に模擬試験1回分(2025年度と同じ形式) | 参考書の章を読んだら、同じ章の問題を目標時間内で解く |
| 解答解説 | 問題集の全問の正解、途中式を省かない解説、誤答の選択肢がどこから来るか | 解いた直後に答え合わせをし、間違えた理由を確認する |
問題集の各問題には、重要度・目標時間・類題の過去問(例「2025-問2(8)」)が付いています。過去問を解くときにも、本書の章との対応を確かめる手がかりになります。
重要度タグ
章・節・問題には、次の3段階の重要度タグを付けています。章のタグは、序章で集計した直近10年(2016〜2025年度)の配点シェアと出題された年数にもとづきます。
| タグ | 意味 | 章の判定基準 |
|---|---|---|
| S 必修 | 落とせない | 配点シェアが約8%以上で、10年間毎年出題される(第2・3・9・12・13・14章)。または、後の章のほとんどの計算の前提になる(第1・4・6章) |
| A 頻出 | よく出る | 配点シェアが約4〜8%で、10年中6年以上出題される(第5・8・10・11章) |
| B 余力 | 余力があれば | 出題が隔年程度で、問題3・4の誘導の素材になることが多い(第7章) |
節と問題のタグも同じ考え方です。毎年のように出る内容と、他の節の前提になる内容が S です。章のタグが A や B でも、中心の節は S のことがあります(第8章の予定利率・予定死亡率の変更など)。
紙面の見方
本文の中の囲みは7種類です。左が見本、右が読み方です。
各章の最初には「出題データ」の囲みがあり、その章の直近10年の配点シェア、出題された年数、典型的な出題パターン、章の目標をまとめています。
「要点だけ1周」ルート
本文と例題を読まずに、次の3つだけを読む読み方です。
各節の冒頭の要点の箱(全章で個)
本文中の公式の箱(全章で個)
付録B「要点総まとめ(1周用)」と、その最後の直前チェックリスト
所要時間の目安は、1節あたり2〜3分、1章あたり15分前後で、14章を通して3時間半前後です。付録Bだけなら約1時間で1周できます。このルートは、1周目を始める前に全体の見取り図をつかむとき、2周目の合間に忘れかけた章を確認するとき、そして試験の前日に使います。読んでいて式の意味が思い出せない箇所があれば、そこだけ本文に戻ります。付録A「公式集」は、問題を解いていて式を確かめたいときに引く表です。
最短合格の学習計画
合格基準点は、満点の60%を基準に試験委員会が決めます。本書では70点を目標にします。問題2の小問1つ(7点)と誘導の空欄いくつかを落としても、合格ラインを越える水準です。
生保数理の章は積み上げ型です。第1〜4章の確定年金・生命確率・計算基数は全章の計算の部品で、第5〜8章の保険料と責任準備金はその上に立ちます。配点の大きい第9・12・13・14章(直近10年で%)も、中身は「計算基数の比」と「1年分の再帰式」の応用です。このため、配点の大きい章から読むより、章の順に進み、各章で S と A を一度に固めるほうが結局は速く進みます。
章の順に1周する:各章で、本文(B の節は後回し)→問題集の S の問題→A の問題、の順に進む。
間違えた問題を解き直す:1周目に間違えた問題と目標時間を大きく超えた問題に印を付けておき、数日あけて解き直す。
模擬試験:180分を計り、本番と同じ順序と時間配分(序章)で解く。
弱点の復習:模擬試験で落とした分野の章を読み直し、その章の問題を解き直す。B の節と第7章は、ここまで終えて時間が残れば読む。
次の表は、週10時間前後を10週続ける場合の例です。
| 週 | 参考書 | 問題集・演習 |
|---|---|---|
| 1 | 第1・2章(利息、生命表と生命関数) | 同じ章の S・A の問題 |
| 2 | 第3章(脱退残存表)、第4章の前半(計算基数) | 同じ章の S・A の問題 |
| 3 | 第4章の後半(変動保険・恒等式)、第5章(年払純保険料) | 同じ章の S・A の問題 |
| 4 | 第6章(責任準備金)、第7章の A の節 | 同じ章の S・A の問題 |
| 5 | 第8章(計算基礎の変更) | 同じ章の問題、第4〜6章の解き直し |
| 6 | 第9章(営業保険料)、第10章の前半(チルメル式) | 同じ章の S・A の問題 |
| 7 | 第10章の後半、第11章(解約・払済・延長) | 同じ章の S・A の問題 |
| 8 | 第12章(連合生命) | 同じ章の S・A の問題 |
| 9 | 第13・14章(就業不能、災害・疾病) | 同じ章の S・A の問題 |
| 10 | 付録A・B と直前チェックリスト | 模擬試験(180分)と答え合わせ、落とした分野の問題 |
時間が足りなければ、第7章と各章の B の節を省き、第8章と第10・11章では S の節と S の問題を先に終えます。第4章と第6章だけは、A の節まで含めて省略しないでください。
記号と用語
記号と用語は教科書に合わせています。次の表に主なものをまとめます。添字の位置も教科書と同じで、左下は経過年数・据置期間・払込期間、右下は年齢と期間、右肩は年 \(k\) 回払の \((k)\)・営業保険料の \(*\)・脱退の事由を表します。
| 記号 | 意味 | 章 |
|---|---|---|
| \(v=\dfrac{1}{1+i}\), \(d=iv\), \(\delta=\log(1+i)\) | 現価率・割引率・利力 | 1 |
| \(i^{(k)}\), \(d^{(k)}\) | 年 \(k\) 回転化の名称利率・名称割引率 | 1 |
| \(\adue_{\angl{n}}\), \(a_{\angl{n}}\), \(\sdue_{\angl{n}}\), \(s_{\angl{n}}\) | 確定年金の現価と終価(\(\ddot{\ }\) は期始払、無印は期末払) | 1 |
| 記号(続き) | 意味 | 章 |
|---|---|---|
| \(l_x\), \(d_x\), \({}_tp_x\), \({}_tq_x\), \({}_{t|}q_x\) | 生存数・死亡数・生存確率・死亡確率・据置死亡確率、最終年齢 \(\omega\) | 2 |
| \(\mu_x\), \(\eo{x}\), \(e_x\), \(L_x\), \(T_x\), \(m_x\) | 死力・完全平均余命・略算平均余命、定常人口、中央死亡率 | 2 |
| \(q^{A}_x\), \(q^{A*}_x\), \(m^{A}_x\), \(\mu^{A}_x\) | 事由 \(A\) の脱退率・絶対脱退率・中央脱退率・脱退力 | 3 |
| \(D_x\), \(N_x\), \(S_x\), \(C_x\), \(M_x\), \(R_x\), \(\bar C_x\) | 計算基数(\(\bar C_x=v^{x+\frac12}d_x\) は即時払用) | 4 |
| \(\adue_{x:\angl{n}}\), \(a_{x:\angl{n}}\), \(\defer{f}\adue_{x:\angl{n}}\), \(\adue^{(k)}_x\), \(\abar_x\) | 生命年金(期始払・期末払・据置・年 \(k\) 回払・連続払) | 4 |
| \(\Apure{x}{n}\), \(\Aterm{x}{n}\), \(A_{x:\angl{n}}\), \(A_x\), \(\bar A_x\) | 生存保険・定期保険・養老保険・終身保険の一時払純保険料(\(\bar A_x\) は保険金即時支払) | 4 |
| \((IA)_{\one{x}:\angl{n}}\), \((DA)_{\one{x}:\angl{n}}\) | 累加定期保険・累減定期保険 | 4 |
| \(P_{x:\angl{n}}\), \(\lf{m}{P}_{x:\angl{n}}\) | 年払純保険料(全期払込・\(m\) 年払込) | 5 |
| \(\lf{t}{V}_{x:\angl{n}}\), \(\lfu{t}{m}{V}_{x:\angl{n}}\), \({}_tP^{r}\), \({}_tP^{s}\) | 純保険料式責任準備金、危険保険料・貯蓄保険料 | 6 |
| \({}^{2}A_x\), \(\E[\,\cdot\,]\), \(\V[\,\cdot\,]\) | 現価率 \(v^2\) で計算した \(A_x\)、期待値・分散 | 7 |
| \(P^{*}\), \(A^{*}\), \(\alpha\), \(\beta\), \(\gamma\), \(\gamma'\) | 営業保険料、新契約費・集金費・維持費(払込中・払済後) | 9 |
| \(\lf{t}{V}^{[z]}\), \(\lf{t}{V}^{[hz]}\) | 全期チルメル式・\(h\) 年チルメル式の責任準備金 | 10 |
| \(\lf{t}{W}\), \(\lf{t}{L}\), \(S\), \(T\), \(S'\) | 解約返戻金、貸付金、払済保険金額、延長期間、延長保険の生存保険金額 | 11 |
| \({}_tp_{xy}\), \({}_tp_{\last{xy}}\), \(\adue_{xy}\), \(\adue_{\last{xy}}\) | 共存と最終生存の生存確率・年金 | 12 |
| \(A_{\one{x}y}\), \(A_{\two{x}y}\), \(a_{x|y}\) | \((x)\) が先・2番目に死亡したとき支払う保険、復帰年金 | 12 |
| \(l^{aa}_x\), \(l^{ii}_x\), \(i_x\), \(q^{(i)}_x\), \(q^{ii}_x\), \(q^{i}_x\) | 就業者・就業不能者の数、就業不能になる人数、就業不能率、就業不能者の死亡率と絶対死亡率 | 13 |
| \(q^{ad}\), \(q^{ahi}\), \(q^{ah}\), \(T\), \(H\) | 災害死亡率、日数 \(i\) の災害入院発生率、災害入院発生率、平均給付日数、入院日額 | 14 |
用語も教科書の語を使います。年金や保険料の支払は「期始払」「期末払」、保険金の支払は「年度末支払」「即時支払」、期間の単位は「保険年度」です。予定事業費は、新契約費 \(\alpha\) が「保険金額1に対し」、集金費 \(\beta\) が「営業保険料1に対し」、維持費 \(\gamma\) が「保険金額1に対し」と、何に対する率かを本書の例題と問題集でも毎回明記します。入院日額は本試験で \(\delta\) と書かれることがありますが、利力と紛れるので本書では \(H\) とします。
アクチュアリー一次試験 合格ナビ
アプリなら、空欄ごとに記号を選ぶ本番と同じ形式で問題を解いて自動採点し、間違えた問題を受験日に合わせて出し直します。電卓と、180分の模擬試験も使えます。