年金数理 本書の使い方
年金数理の参考書と問題集を、どの順に・どう使うかの説明です(無料公開)。
この章の節
本書は、アクチュアリー一次試験「年金数理」に最短で合格するための参考書です。出題範囲は教科書『年金数理』(日本アクチュアリー会)の全体ですが、すべてを同じ重さで学ぶ必要はありません。〜2025年度の出題を分析し(序章)、配点の大きい財政方式とその応用を中心に、試験で使う形で身につけられるように13章で構成しています。
3冊の役割と使い分け
本書は問題集・解答解説と組み合わせて使います。3冊の章立てと章番号は共通です。
| 中身 | 使い方 | |
|---|---|---|
| 参考書(本書) | 序章(出題分析と合格戦略)、13の章、付録A(公式集)・付録B(直前に1周する要点総まとめ) | 章ごとに読み、例題を自分で解く。試験の直前は要点と公式だけを読み直す |
| 問題集 | 章ごとに本番と同じ空欄補充・10択形式の問題6〜8問(全問)。巻末に模擬試験1回分 | 参考書の章を読んだら、同じ章の問題を目標時間内で解く |
| 解答解説 | 問題集の全問の正解、途中式を省かない解説、誤答の選択肢がどこから来るか | 解いた直後に答え合わせをし、間違えた理由を確認する |
問題集の各問題には、重要度・目標時間・類題の過去問(例「2025-問2(1)(ア)」)が付いています。過去問を解くときにも、本書の章との対応を確かめる手がかりになります。
重要度タグ
章・節・問題には、次の3段階の重要度タグを付けています。章のタグは、序章で集計した直近10年(2016〜2025年度)の配点シェアと出題された年数にもとづきます。
| タグ | 意味 | 章の判定基準 |
|---|---|---|
| S 必修 | 落とせない | 配点シェアが約11%以上で、10年中9年以上出題される。または、後の章のほとんどの問題の前提になる(第2章の定常人口) |
| A 頻出 | よく出る | 配点シェアが約5〜9%で、10年中7年以上出題される。または、全章の計算の土台になる(第1章の計算基数) |
| B 余力 | 余力があれば | 配点シェアが2%未満で、直近10年の出題は1年だけ(第13章) |
節と問題のタグも同じ考え方です。毎年のように出る内容と、他の節の前提になる内容が S です。章のタグが A でも、中心の節は S のことがあります(第4章の極限方程式、第9章の給与累計制・キャッシュバランス制度など)。
紙面の見方
本文の中の囲みは7種類です。左が見本、右が読み方です。
各章の最初には「出題データ」の囲みがあり、その章の直近10年の配点シェア、出題された年数、典型的な出題パターン、章の目標をまとめています。
記号と用語
記号と用語は教科書に合わせています。とくに、財政方式は左肩の略号で区別し、\(\pre{E}{P}\) は加入年齢方式の1人あたり標準保険料、\(\pre{U}{C}\) は単位積立方式の制度全体の保険料、\(\pre{OAN}{V}\) は開放基金方式の責任準備金を表します。
| 左肩の略号 | 財政方式 | 左肩の略号 | 財政方式 |
|---|---|---|---|
| \(P\) | 賦課方式 | \(E\) | 加入年齢方式(特定年齢方式) |
| \(T\) | 退職時年金現価積立方式 | \(I\) | 個人平準保険料方式 |
| \(U\) | 単位積立方式 | \(C\) | 閉鎖型総合保険料方式 |
| \(L\) | 平準積立方式 | \(A\) | 到達年齢方式 |
| \(\mathit{In}\) | 加入時積立方式 | \(O\) | 開放型総合保険料方式 |
| \(\mathit{Co}\) | 完全積立方式 | \(\mathit{OAN}\) | 開放基金方式 |
責任準備金は、本試験の問題冊子の約束と同じく「給付現価\(-\)標準保険料収入現価」とし、未積立債務は「責任準備金\(-\)積立金」とします(第1章・第10章)。問題文に現れる「掛金」「数理債務」「過去勤務債務」などの言い換えは、第1章の表1.2にまとめてあります。
「要点だけ1周」ルート
本文と例題を読まずに、次の3つだけを読む読み方です。
各節の冒頭の要点の箱(全章で個)
本文中の公式の箱(全章で個)
付録B「要点総まとめ(1周用)」と、その最後の直前チェックリスト
所要時間の目安は、1節あたり2〜3分、1章あたり15分前後で、13章を通して3時間前後です。付録Bだけなら約1時間で1周できます。このルートは、1周目を始める前に全体の見取り図をつかむとき、2周目の合間に忘れかけた章を確認するとき、そして試験の前日に使います。読んでいて式の意味が思い出せない箇所があれば、そこだけ本文に戻ります。付録A「公式集」は、問題を解いていて式を確かめたいときに引く表です。
最短合格の学習計画
合格基準点は、満点の60%を基準に試験委員会が決めます。本書では70点を目標にします。大問の空欄2〜3個分(10点)の失点や基準点の上下があっても合格ラインを越える水準です。
年金数理の章は、前の章の結果を次の章で使う積み上げ型です。第5章の財政方式は第2〜4章の定常人口・年金現価・極限方程式の上に立ち、第8〜12章はすべて第5・6章の応用です。このため、「全章の S の節だけを先に1周する」読み方より、章の順に進み、各章で S と A を一度に固めるほうが効率よく進みます。
章の順に1周する:各章で、本文(B の節は後回し)→問題集の S の問題→A の問題、の順に進む。S の問題は全問(目標時間の合計は約時間)、A の問題は全問(約時間)。
間違えた問題を解き直す:1周目に間違えた問題と目標時間を大きく超えた問題に印を付けておき、数日あけて解き直す。
模擬試験:180分を計り、本番と同じ順序と時間配分(序章)で解く。
弱点の復習:模擬試験で落とした分野の章を読み直し、その章の問題を解き直す。B の節と第13章は、ここまで終えて時間が残れば読む。
次の表は、週10時間前後を10週続ける場合の例です。
| 週 | 参考書 | 問題集・演習 |
|---|---|---|
| 1 | 第1・2章(計算基数、定常人口) | 同じ章の S・A の問題 |
| 2 | 第3・4章(年金現価、極限方程式) | 同じ章の S・A の問題 |
| 3 | 第5章(財政方式と Trowbridge モデル) | 同じ章の S・A の問題 |
| 4 | 第6章(責任準備金と平準積立方式) | 同じ章の S・A の問題 |
| 5 | 第7章(開放型の財政方式) | 同じ章の問題、第5・6章の解き直し |
| 6 | 第8・9章(特別保険料、給付設計) | 同じ章の S・A の問題 |
| 7 | 第10・11章(財政の検証、損益分析) | 同じ章の S・A の問題 |
| 8 | 第12章(制度変更・統合・分割) | 同じ章の S・A の問題 |
| 9 | 付録A(公式集)で全章の式を確認。余力があれば第13章 | 間違えた問題の解き直し、直近年度の過去問 |
| 10 | 「要点だけ1周」と直前チェックリスト | 模擬試験(180分)と答え合わせ、落とした分野の問題 |
時間が足りなければ、第13章と各章の B の節を省き、第8〜12章では S の節と S の問題を先に終えます。第5・6章だけは、A の節まで含めて省略しないでください。
アクチュアリー一次試験 合格ナビ
アプリなら、空欄ごとに記号を選ぶ本番と同じ形式で問題を解いて自動採点し、間違えた問題を受験日に合わせて出し直します。電卓と、180分の模擬試験も使えます。