会計・経済・投資理論 本書の使い方

会計・経済・投資理論の参考書と問題集を、どの順に・どう使うかの説明です(無料公開)。

この章の節

本書は、アクチュアリー一次試験「会計・経済・投資理論」に最短で合格するための参考書です。出題範囲は、会計が『財務会計講義(第27版)』(桜井久勝)の第1〜12章、経済が『入門|経済学(第4版)』(伊藤元重)のPart 1の§1〜4・§8とPart 2の§9〜12、投資理論が『新・証券投資論I 理論篇』の第1〜3・5・7章と『新・証券投資論II 実務篇』の第1・2・4章です。本書はこれを3部16章に分け、〜2025年度の出題を分析して(序章)、毎年出る論点と各分野の最低ラインを支える論点を厚くしました。

部の順番は、投資理論(第I部、50点)→経済(第II部、25点)→会計(第III部、25点)です。投資理論は配点が最も大きく、数学が得意な人には最も早く得点源になります。割引現在価値・期待値・分散の考え方は、経済の余剰計算や会計の社債の利息法・退職給付でもそのまま使います。用語と正誤の暗記が多い会計を最後に置いたのは、試験に近い時期に学ぶほうが忘れにくいからです。

3冊の役割と使い分け

本書は問題集・解答解説と組み合わせて使います。3冊の章立てと章番号は共通です。

中身 使い方
参考書(本書) 序章(出題分析と合格戦略)、16の章、付録A(重要用語集)、付録B(公式集)、付録C(直前に1周する要点総まとめ) 章ごとに読み、例題を自分で解く。試験の直前は要点と公式だけを読み直す
問題集 章ごとに本番と同じ形式(数値の選択・語句の選択・正誤)の問題6〜8問(全問)。巻末に模擬試験1回分(2025年度と同じ17大問・100点・180分) 参考書の章を読んだら、同じ章の問題を目標時間内で解く
解答解説 問題集の全問の正解、途中式を省かない解説、正誤問題の各記述の判定理由、誤答の選択肢がどこから来るか 解いた直後に答え合わせをし、間違えた理由を確認する

問題集の各問題には、重要度・目標時間・類題の過去問(例「2025-問14(1)ア」「2018-問12(Ⅰ)」。2021年度までの小問はローマ数字で表すことがあります)が付いています。過去問を解くときにも、本書の章との対応を確かめる手がかりになります。

重要度タグ

章・節・問題には、次の3段階の重要度タグを付けています。章のタグは、序章で集計した直近10年(2016〜2025年度)の分野内の配点シェアと、分野の最低ラインを確保するうえでの役割にもとづきます。16章とも10年間毎年出題されているので、出題された年数では差がつきません。

タグ 意味 章の判定基準
S 必修 落とせない 分野内シェアが13%以上で毎年ほぼ同じ点数が出る章(第1〜4章)、または分野の最低ラインを確保する柱になる章(経済の第9・10・12章、会計の第13〜15章)
A 頻出 よく出る 毎年出るが分野内シェアが11〜18%で、S の章の後に学べばよい章(第5〜8・11・16章)
B 余力 余力があれば 章には付けず、節と問題に付ける。出題が少ない、または指定範囲の周辺の内容

節と問題のタグも同じ考え方です。毎年のように出る内容と、他の節の前提になる内容が S です。章のタグが A でも、中心の節は S です(第5章の状態価格、第6章の2項モデル、第16章のキャッシュ・フロー計算書と税効果会計など)。

紙面の見方

本文の中の囲みは8種類です。左が見本、右が読み方です。

各章の最初には「出題データ」の囲みがあり、その章の直近10年の配点シェア(全体のシェアと分野内のシェア)、出題された年数、典型的な出題パターン、章の目標をまとめています。

「要点だけ1周」ルート

本文と例題を読まずに、次の3つだけを読む読み方です。

  1. 各節の冒頭の要点の箱(全章で個)

  2. 本文中の公式の箱(全章で個。会計の数値ルールは要点の箱にあります)

  3. 付録C「要点総まとめ」

所要時間の目安は、1節あたり2〜3分、1章あたり15分前後で、16章を通して4時間前後です。付録Cだけなら約1時間で1周できます。このルートは、1周目を始める前に全体の見取り図をつかむとき、2周目の合間に忘れかけた章を確認するとき、そして試験の前日に使います。読んでいて意味が思い出せない箇所があれば、そこだけ本文に戻ります。付録A「重要用語集」は会計・経済の用語と基準名を分野別に並べたもので、正誤問題の判定に迷った語を引くほか、会計の学習中は毎日10分ずつ通読します。付録B「公式集」は、投資理論・経済の公式と会計の数値ルールを1か所にまとめた表です。

最短合格の学習計画

この科目の合格には、2つの条件を両方満たす必要があります。科目全体で合格基準点(満点の60%を基準に試験委員会が決める点)以上を取ること、そして会計・経済・投資理論の各分野で最低ライン(分野の満点の40%を基準とする点)以上を取ることです。点数にすると、最低ラインは会計10点・経済10点・投資理論20点で、1分野でも割ると合計が何点でも不合格です。本書では会計15点・経済15点・投資理論40点の計70点を目標にします。合格基準点が60点より上に設定される年度にも届き、どの分野も最低ラインまで5点以上の余裕がある水準です。

学習時間は配点の比(2:1:1)ではなく、投資理論45%・経済25%・会計30%程度に配分します。投資理論で満点近くを取っても会計・経済の不足は補えないこと、会計は未習の人が多く用語の暗記に時間がかかることが理由です。

  1. 部の順に1周する:各章で、本文(B の節は後回し)→問題集の S の問題→A の問題。

  2. 間違えた問題を解き直す:1周目に間違えた問題と目標時間を大きく超えた問題に印を付けておき、数日あけて解き直す。

  3. 模擬試験:180分を計り、本番と同じ順序と時間配分(序章)で解く。採点では合計点だけでなく、分野ごとに最低ラインとの差を確かめる。

  4. 弱点の復習:最低ラインに近かった分野の章を読み直し、その章の問題を解き直す。B の節は、ここまで終えて時間が残れば読む。

次の表は、試験の8週間前から週12時間前後を続ける場合の例です。問題集の目標時間の合計は、S の問題だけで約時間、全問で約時間です。

週 参考書 問題集・演習
1 序章、第1章(債券)、第2章(選好とポートフォリオ) 同じ章の S・A の問題
2 第3章(CAPM)、第4章(株式投資分析) 同じ章の S・A の問題
3 第5章(状態価格)、第6章(オプション)、第7章(先物) 同じ章の S・A の問題
4 第8章(需要と供給)、第9章(余剰・貿易)、第10章(ゲーム) 同じ章の S・A の問題
5 第11章(GDP・乗数)、第12章(貨幣とマクロ経済政策) 同じ章の問題、第I部の解き直し
6 第13章(制度・会計理論・金融資産)、第14章(収益・資産) 同じ章の問題、付録A を毎日10分
7 第15章(負債と純資産)、第16章(財務諸表・税効果) 同じ章の問題、第II部の解き直し
8 付録B・付録C 模擬試験(180分)と弱点の復習

時間が足りなければ、各章の B の節を省き、A の章(第5〜8・11・16章)では S の節と S の問題を先に終えます。経済の第9・10・12章と会計の第13〜15章は、分野の最低ラインを支える章なので省略しないでください。

記号と用語

記号は過去問の問題文と指定教科書に合わせ、期待値・分散などは数学シリーズ(『数学 最短合格テキスト』)と共通にしています。次の表に主なものをまとめます。

記号 意味 章
\(\E[X]\), \(\V[X]\), \(\Cov[X,Y]\), \(\P(A)\) 期待値・分散・共分散・確率(相関係数は \(\rho\)) 全章
\(r_t\), \(\DF_t\), \(f_{m,n}\), \(y\) スポット・レート、割引係数、フォワード・レート、最終利回り 1
\(\Dmac\), \(\Dmod\), \(\Cvx\) マコーレー・デュレーション、修正デュレーション、コンベキシティ 1
\(u(w)\), \(\CE\), \(A(w)\) 効用関数、確実等価額、絶対的リスク回避度(\(-u''/u'\)) 2
\(R_i\), \(\mu_i\), \(\sigma_i\), \(\rf\), \(R_M\) 収益率、期待リターン、標準偏差、安全利子率、市場ポートフォリオ 2・3
\(\beta_i\), \(\sigma_{\varepsilon_i}^2\) ベータ、残差リスク(非市場リスク) 3
\(P_0\), \(D_t\), \(k\), \(g\), \(b\) 株価、配当、株主資本コスト、成長率、内部留保率 4
\(\psi_s\), \(q_s\), \(u\), \(d\), \(q\) 状態価格、リスク中立確率、2項モデルの上昇・下落倍率 5・6
\(S\), \(K\), \(T\), \(C\), \(P\) 原資産価格、行使価格、満期、コール・プットの価格 6・7
\(\varepsilon\), CS, PS, DWL 価格弾力性(正の値)、消費者余剰、生産者余剰、死荷重 8・9
\(\mathit{TC}\), \(\mathit{AC}\), \(\mathit{AVC}\), \(\mathit{MC}\) 総費用、平均費用、平均可変費用、限界費用 9
\(Y\), \(C\), \(I\), \(G\), \(T\), \(c\) GDP、消費、投資、政府支出、租税、限界消費性向 11
\(M\), \(H\), \(\alpha\), \(\beta\), \(k\), \(V\) マネーストック、ハイパワード・マネー、現金預金比率、預金準備率、マーシャルの \(k\)、流通速度 12

同じ文字が章によって別の意味になるものがあります。\(k\) は第4章では株主資本コスト、第12章ではマーシャルの \(k\)、\(\beta\) は第3章ではベータ、第12章では預金準備率、\(u\) は第2章では効用関数、第6章では2項モデルの上昇倍率、\(C\) は第6・7章ではコールの価格、第11章では消費です。同じ章の中では衝突しないようにしています。

会計の用語は基準の文言どおりにし、基準名は正式名称で書いて初出で略称を示します(例「収益認識に関する会計基準(以下、収益認識基準)」)。会計基準・開示制度は2026年10月時点の現行のもので説明し、古い過去問で扱いが変わった論点(割賦基準、四半期報告書、持分プーリング法など)は本文と序章の最後の表で注意します。仕訳は(借方)(貸方)の2列の表で示します。

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